それでは、志野原姉妹の両親が「駆け落ち結婚」だとすると、どんな理由が考えられるでしょうか？
「お互い家庭がある身だった」
「お互いの家庭環境に格差が大きかった」
どちらもピンときませんでした。ひかわ作品の世界観に合わない気がしたのです。
実は私はかなり長い間、志野原姉妹の容姿から、二人の出生に、ある可能性が頭から離れずにいました。
それは
「志野原姉妹の両親は日本人とアメリカ人の、国際結婚の夫婦だったのではないか」
つまり志野原姉妹はハーフの姉妹だという事です。
ここでちょっと話が変わりますが、千津美と藤臣くんの生まれた時期を考えていこうと思います。（夢を壊すようで申し訳ないのですが…）
『秋風揺れて…』が発表されたのは1979年2月です。
ここをスタート地点として考えていくと、藤臣くんは1961年生まれ、『春を待つ頃』で、どうやら千津美は遅生まれのようなので、千津美は1963年生まれと考えることができます。
そして千津美のお姉さんはどう見ても、千津美より10歳位は年上に見えます。
つまり、千津美の両親が出会って結婚し、お姉さんをもうけるまでは、1950年代前半頃の出来事だったと考えることができます。
この年代といえば、先の大戦が終わってまだ間もない頃です。国際結婚もまだまだ珍しく、日本人とアメリカ人の結婚がそう簡単に周囲に認められたとは考えにくいです。
志野原姉妹の両親は二人と同じような穏やかで優しい人柄で、真面目で真剣な恋愛をしたけれども、たまたま相手が外国人だったせいで、二人の力ではどうにもならない社会情勢から、周囲に理解を得るのが難しかった。
そのために親族と縁を切る形で結婚を貫く辛い選択をした。
志野原姉妹の親戚は、二人が知らないだけで、どこかで健在であり、そしてその親戚はアメリカ人である可能性がある。
どうですか？ 千津美と藤臣くんがアメリカに旅立つ道図路がぼんやり見えてこないでしょうか？
次回は私が何故、志野原姉妹を日本人とアメリカ人のハーフと考えるのか、他の理由も書いていきたいと思います。